パリ個人ガイドをしていて嬉しいことは、もちろんいろんな人たちとの出会いであるけれど、時間がたって「ああ、嬉しいなあ」と感じること。
それは写真を送ってもらったとき。
「○○さんと取った写真です」という挨拶とともにメールに添付されて受け取る写真の嬉しいこと。
ガイドした方達、お預かりしたお子様達と一緒に撮った写真が1週間後くらいで届いたりすると、自然に顔がほころんで「ああ、楽しかったなぁ」となる。
写真を請求するわけではないけれど、たしかに何枚もいっしょに写真に収まったはずなのに、一枚も送られてこないこともある。
いままでお世話になった方達は何百人もいらっしゃるけれど、たった1日のガイドだけでも、記憶に残る方と残らない方がいる。
記憶に残るのはガイドをしているその時のことではなくて、後日受け取る画像によって私の記憶に残されるようだ。
日が経ってから送られてくる写真で「ああ、このときはこんなことがあった、あんなことを喋った」と、経験が思い起こされてその方のお顔がバッチリ記憶に留まるらしいのだ。
立て続けに1週間ガイドをさせていただいた方達のことは写真なぞなくたって、しっかり記憶に残る。それはあたりまえのこと。
今までに受け取った写真を時々眺めながら、いっしょに写っている方達のことを思う。
初めてのパリ旅行で緊張している方、何回目かのパリですっかりリラックスしている方、同伴のご主人と喧嘩中の方、子ども達の世話でぐったりしている方。などなど。
いろんな状況の方たちと撮った写真には、そのときの言葉と気温と時間もしっかり写っている。
懐かしいなあ。楽しかったなぁ、またの機会があればお目にかかりたいなあ。と、なるべく陽気なことへ目を向けて、間違っても「私も若かったわ」などとは決して思わないようにしているのである。